こちらの「情熱!U-30」では、長崎で暮らす30歳以下の若者がどのような活動をしているのかを紹介します。
今の若者が熱中していることは何か。
さらに今の若者の価値観なども同時に知ることができますのでぜひご覧ください!
第6回となる今回は、使い終わった教科書を通して、途上国の教育支援を行っているSTUDY FOR TWO 長崎大学支部のみなさんにインタビュー。全国各地に広がりを見せているこの活動と、ご自身の成長についてお話しいただきました。
STUDY FOR TWO 長崎大学支部
今回取材にご協力していただいた3名。
左から甲斐小雪さん(支部長・3年)、櫻井星斗さん(支部長・3年)、湯浅凪海さん(広報・3年)。
一般社団法人 SUTUDY FOR TWO
2010年設立。2015年法人登記。全国に41の支部を持ち、587人の会員が在籍している(2020年12月現在)
STUDY FOR TWO(以下SFT)について聴きました。
質問1:SFTの活動内容について教えてください。
甲斐:開発途上国の子どもたちの「教育支援」を目的に活動しています。具体的な活動内容としては、大学生が使わなくなった教科書を寄付していただいて、次年度の新入生へ定価の半額以下で再販売。そこで生まれた利益を寄付しています。
— 卒業生を対象に、寄付を募っているのでしょうか?
櫻井:学部によって異なるのですが、在学中に寄付していただく場合もあれば、卒業時に寄付していただく場合もありますね。
質問2:みなさんは、なぜSFTに加入しようと思ったのでしょうか?
湯浅:入学後、早い段階でSFTの存在は知っていて、純粋に興味があったんです。だから1年生のときに運営の方にメールを送ったんですよ。でも、返事が来なかった(笑)。
櫻井:Twitterかな?
湯浅:いや、Gmail…。
甲斐・櫻井:Gmail…!(笑)
湯浅:なので、一度は諦めたんです(笑)。でも、どうしてもやりたかったので2年生の時にInstagramで再アプローチを…。「子どもたちの水がない」「学校に行く時間がない」…そういったものをテレビで見ながら、「わたしはいつか井戸を掘りたい」みたいな夢がふわふわしていた。直接できることがなくても、自分にできることが少しでもあるといいなって。
— 「井戸を掘りたい」って考えになったところが興味深いです。
櫻井:僕は、どちらかというと「現地に行ける」というところに興味がありました。SFTの活動の中で、実際に支援先のラオスやバングラデシュに行って、現地の子どもたちと接することができるんです。元々ボランティア活動に興味があったので、子どもたちの助けになりたいという気持ちと、自分の目で現地を見るという経験が相まって。ただ、コロナ禍もあって現地には行けていないんです。春夏とチャンスがあるので、来年の春に行けたらいいなと思っています。
甲斐:私は、長崎大学支部を立ち上げた先輩が中高の先輩だったんです。長崎大学の合格が決まった瞬間から勧誘がスタートして…というより、誘拐されてしまって(笑)。活動内容より先輩の存在が大きかったんですが、全国に色んな友だちができて、みんなで頑張ろう!って刺激し合える関係に魅力を感じています。
— 全国に色んな友だち?
甲斐:実は、北は北海道大学から南は熊本大学まで、全国に40近くの支部があるんです。私たち長崎大学支部は、就活中の4年生まで含めると15名近く。一緒に活動してくれるメンバーも、絶賛募集中なんです!
櫻井:Gmailも、一度見直さないといけないね…(笑)。
みなさんの想いに迫っていきます。
質問3:活動の中で楽しいところ、難しいところを教えてください。
櫻井:昨年に比べて、春販売が上手くいってるのかな…。コロナ禍もあってオンライン上でのやり取りが特に多いので、「誰がどれ?いつだったっけ?」みたいな管理に難しさを感じています。忙しくなると、こんなに大変なんだなって。ただ、小雪ちゃんがさっき話してくれたように、全国の仲間がいるのは心強いですね。先日もZoomで同期会をやったんですが、刺激を受ける部分は多いです。
湯浅:私はまだ入って間もないから、現地の状況や子どもたちの顔が浮かばないんです。たまに「これ、何のためにやってんだろ?」って思ってしまうこともあります。教科書を販売するために広報の仕事をするけど、そのためだけになってしまったりして。正直に言うと、本来の目的を見失ってしまうときがあるんです。
櫻井:でも、対面で会ったこともない1年生がたくさんメッセージをくれてるってことは、SNS上で見てもらえる数が増えているってことだよね。準備期間にしんどいなって思う時期もあったけど、凪海ちゃんの苦労が実績に繋がってきていると思う。だから、僕はとっても満足してます(笑)。
— 支部長の優しさが垣間見えた一面でした。
甲斐:私は、SFTに入ってなかったら出逢ってない人たちがたくさんいたことが良かったなと。あとは、3人の中で唯一現地(バングラデシュ)に行ったんですが、当時見た景色が忘れられないんです。「知識がないまま結婚させられてしまう女の子たちの教育に力を入れよう」「学校が足りていないからつくろう」「通学できないから道を整備しよう」…教育を受けられない要因に対して、様々な角度からアプローチをしているな、という印象を受けました。いまは視察に行けないことが残念です。
質問4:自らの成長を感じたところはありますか?
櫻井:支部長の立場になってみて、マネジメントが大変だなって思うようになりました。本来なら1人のところ、異例で僕と小雪ちゃんでやることになったんですが、それでも大変。全国の支部長さんはすごいなって。メンバーのモチベーション維持や仕事の振り分けも難しいし、成長よりも自分の至らなさに気付いたという方が正しいかもしれません。もうすぐ支部長になって半年が経ちますが、もう半年後には、もっと動けるようになりたいなと思います。
湯浅:性格の話になるんですが、「とりあえずやってみよう」と思えるようになりました。今までは、「たぶんできないから良いかな」とか、「時間ないなぁ」と思ってやらないことも多かった。広報に誘ってもらえたときに「やってみよう」という気持ちを大事にできたし、そのために時間を作ることもそうだし、気持ちの変化に成長を感じています。
甲斐:支部の数だけのリーダー像、マネジメント法があるんだなってところに学びがありました。今は、自分が思い描くリーダー像を突き詰める経験ができています。「この支部のやり方は参考になるな」「でも長崎大学支部には落とし込めないな」といった感じで。同じ活動をしているはずなのに、色んな考え方に触れられる環境そのものが、自分の成長に繋がってる気がします。
— それぞれ、自らの内面的なところに気付きが増えた様子でした。
3人の価値観を探る「エンゲージメントカード」
『情熱!U-30』恒例の「エンゲージメントカード」。今回は、それぞれの価値観を覗きながら体験していただきました。
一斉に頭を抱える3人。
山札が減っていく度にペースアップすることが多いのですが、今回は最後までスローペースでの駆け引きが続きました。それぞれの価値観を紹介していきます。
まずは支部長・甲斐小雪さん。彼女は「経験」「進歩・進化」「友情・仲間」を選ばれました。
「経験」
たくさん成長できる人間でありたい。そのために必要なものは経験だと思うから。
「進歩・進化」
培った経験が自分自身の進歩に繋がる。そして、その進歩が団体を進化させるから。
「友情・仲間」
経験や進歩をしていく中で、刺激し合える仲間の存在は大切だと思うから。
— 自分の培った経験を団体に還元すること。これが甲斐さんが想うリーダー像のひとつなのかなと思いました。
続いて、同じく支部長・櫻井星斗さん。彼が選んでくださったのは「人間関係」「知恵・賢さ」「努力」の3枚でした。
「人間関係」
人は1人では生きていけない。困ったときに助けてくれるコミュニティや繋がりを持っていた方がいいと思うから。SFTは支援を行う団体だけど、人を支援することで自分に還ってくるはず。
「知恵、賢さ」
支援をする人、助けてくれる人が馬鹿だったら意味がない。社会で生きていく上で、知恵や賢さが伴っていないと、その人自身の行動も揺れると思うから。
「努力」
何かを達成するためには必要なことだと思うから。一生向き合っていくべきものだし、避けては通れない。
— 甲斐さんとは対照的に、きっぱりと言い切った櫻井さん。それぞれが大切にするものが異なるからこそ、バランスのいいリーダーシップを発揮されているのかもしれません。
最後に、広報担当・湯浅凪海さん。彼女は「謙虚」「心の広さ・寛容さ」「変化」を選んでくださいました。
「謙虚」
人間、謙虚がいちばんだと思うから。序盤から手札にありましたが、迷いませんでした。
「心の広さ・寛容さ」
誰かとコミュニケーションをする上で、相手を受け入れることが大事だと思うから。
「変化」
いまの自分に足りないものだから。まだまだ変わることを怖がっているので、それを身につけたいと思って選びました。
— 甲斐さん、櫻井さんは「既に大切にしているもの」を選んだ一方で、湯浅さんは「なりたい自分」もピックアップ。先を見据えたようにも思える選択です。
現在は、新年度の教科書販売に力を入れているというSTUDY FOR TWO長崎大学支部のみなさん。長崎大学支部の新規メンバーも募集しているほか、県内にいくつかある支部への繋ぎ役も担いたいと話してくださいました。
教科書の購入に興味がある方はもちろん、一緒に活動をしたいと言う方は一度連絡をしてみてはいかがでしょうか?
できれば、Gmailで。
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