【先輩に聞く】長崎で起業するということ。/JUNE COFFEE代表 西原さん

にゃこ

この前、生まれて初めて演劇の舞台を見たんだよね。

ちょー

どんな舞台?

にゃこ

両親が豚になってしまって、女の子が一人で銭湯で働く…的なアニメを原作にした舞台なんだけど。

ちょー

それもう、千と千尋でしょ!はっきり言っていいよ!超有名だよ!

にゃこ

そうそう。千と千尋の舞台を見てきたんだ。

ちょー

いいな〜!千と千尋のアニメ、好きなんだよね。舞台はどうだった?

にゃこ

アニメの世界がかなり忠実に表現されてたよ!
演者も演出も道具も音楽も、本当にすごくて。
やっぱりプロって凄いなって。舞台なんて、それぞれの専門のプロが集まって生(なま)でやる訳でしょ、とんでもない迫力だったよ!

ちょー

演奏も生だったんだ!かなり本格的なんだね。

にゃこ

超本格だったよ!やっぱり本格は違うなぁ。
ぼくも本格のネコを目指したいものだね。

ちょー

本格といえばさぁ、去年の夏にオープンした本格的なコーヒーとパンのお店、知ってる?

にゃこ

本格のネコはスルー?
知ってるよ、外海方面の手前にある「JUNE COFFEE」でしょ?オープン当初、超人気でなかなかパンが手に入らなかったって聞いたよ。

ちょー

まだ行ってないんだけどさ、「JUNE COFFEE」のオーナーって、若くして地元で起業したらしいんだ。
それを聞いてますます気になっちゃってさ。

にゃこ

へー、そうなんだ!
ぼく、コーヒーとパンにはうるさいネコとして知られてるんだけど…。

ちょー

それ、どこで知られてるの?

JUNE COFFEEは、オーナーが本場ヨーロッパで修行を積んで、地元に戻ってオープンしたんだって。

にゃこ

本場で学んだオーナーが出した、本格コーヒーとパンのお店か…!
本格のネコを目指す身としては、それは是非行かなきゃだね。

ちょー

ぼくは企業に就職するつもりでいるけど、就活じゃなくて起業を選ぶのってどんな感じだろうって…。

天気もよくてドライブ日和だし、これからちょっと行ってみない?もしかしたら色々話が聞けるかもしれないし。

にゃこ

行こう行こう!ぼくが運転するよ!

ちょー

あ、いや、今日はぼくが運転するよ。にゃこは景色でも楽しんでて!

というわけで、話題のあの店に行ってみた。

ちょー

こんにちは。お邪魔しま〜す!

にゃこ

こんにちは〜!わぁ〜、いい香り!!

西原さん

こんにちは!いらっしゃいませ。

[話した相手

JUNE COFFEE
オーナーシェフ 西原千草 さん

長崎出身。ロンドン・パリでの留学と修行を経て、帰国。
2021年7月、29歳の時に地元長崎でJUNE COFFEEを立ち上げる。

ちょー

突然すみません、ぼくたちこういうものでして…。

よかったら、起業した先輩である西原さんのお話を聞かせていただきたいのですが…

(ぐぅ〜)

にゃこ

…ごめんなさい。パンとコーヒーの香りを嗅いだ途端…。

西原さん

ふふ。よかったら先に当店のパンを食べてみてください。

コーヒーも淹れますね。

にゃこ

え〜!いいんですか!?やった!

ちょー

すみません…。ありがとうございます!

コーヒーを淹れる西原さん。カップもJUNE COFFEEオリジナル。
にゃこ

うわー!めちゃくちゃ美味しい!

これも!こっちも!

これが本場・本格の味…。

ちょー

にゃこ、食べ過ぎだよ!!


でも本当にぜんぶ美味しいです!しかもなんだか初めて食べるようなパンばっかり。

西原さん

色々と新メニューを開発しているんです。どれも研究と試作を繰り返して仕上げた自信作なんですよ。

にゃこ

はぁ〜…。パンとコーヒーは美味しいし、眺めはいいし、最高!

店の外はオーシャンビュー。海と空が広がる。
ちょー

ほんと、気持ちいい場所だね。居心地が良くて、ついつい長居しちゃいそう。

にゃこ

すっごくいい場所にお店を作られたんですね!

西原さん

長崎市内中心部からは離れているんですが、ありがたいことに沢山のお客様がご来店くださいます。
でも実は、最初は長崎でお店を作るつもりはなかったんですよ。

ちょー&にゃこ

え〜!?そうなんですか!?

地元長崎で起業を決めた理由は「若者流出」。

西原さん

修行時代もずっと都会で暮らしていたので、最初は福岡で店を出すつもりで物件を探していたんです。
でもそんな時に長崎市が人口流出ワースト1だというニュースを見て…。

ちょー

最新のデータでもワースト2位でしたね…。

西原さん

そのニュースを見て悲しくなったんです。
それで長崎で若い人たちがもっと夢を持って頑張れる場所が作りたいと思って。
プランを変更して、地元長崎に店をオープンすることに決めました。

にゃこ

へぇ〜!それがきっかけだったんですね。
でもそんな大きなプラン変更だったなら、不安もあったんじゃないですか?

西原さん

今の場所はわざわざ車で来ていただく必要がありますし、リスクはあると思いました。価格帯的にもニーズはあるかな?と…。
でも地元だからこそ、長崎の方が何を求めているかも分かるので、思い切って挑戦しました。

ちょー

いつ、起業しようと考えたんですか?

西原さん

大学2年生の時です。カフェで勉強するのが好きで、よくカフェでレポート作成やテスト勉強をしてました。
そんな時、国際ビジネスに関する論文を書いたことがきっかけで、カフェや飲食関係のビジネスに興味を持ったんです。

それからは東京で毎日市場調査をしてました。
駅に行って、お客さんがどの店舗の紙袋を持っているのか観察したり…。ゴミ箱を覗いて、どの店のどの商品がよく購入されているのかをチェックしたりもしました(笑)

「こっそりゴミ箱を覗いてました」と語る西原さん。
にゃこ

すごい行動力!

西原さん

中学・高校時代はゴルフに打ち込んで、本気でプロを目指していたので、ゴルフの賞金でお店を開きたいと考えたりもしました。
飲食にゴルフ、やりたいことがいっぱいあったんです。

ちょー

好奇心旺盛だったんですね!
飲食に興味がある中でも、パティシエ・パンのシェフになることを選んだ理由は?

西原さん

飲食関係でビジネスをすると決めた後、フランスとイギリス、アメリカに1人旅に行ったんです。その時、フランスで食べたデザートやパンに衝撃を受けて…。
フランスへの留学を決め、パティシエの講座とパンの講座を受けました。講座を受けた後はパリとロンドンで修行を積みました。

カヌレ、マドレーヌ、フィナンシェなど、店内にはお菓子も並ぶ。

「就職」と「起業」の違い。

にゃこ

そして帰国後、お店をオープンされたんですね。

西原さん

はい。コロナ禍の影響で予定より少し時間はかかりましたが、なんとかオープンできました。

ちょー

僕たち、就職について考えるだけでも不安になっちゃうのに…。起業なんてすごいなぁ。

にゃこ

「就職」だと雇われる側だけど、「起業」だと雇う側になるもんね。

西原さん

そうですね、やっぱりその点が最大の違いだと思います。
「起業」すると、自分が引っ張っていく側・決定する側になります。すべて自分で背負っていかなくてはなりません。

ちょー

想像するだけでプレッシャーが…!

西原さん

お客様の口に入るものを作るので、とても気を遣ってます。何かあったら責任を取るのは私です。
メニュー開発についても、経営についても、毎日考え続け、常に研究しています。終わりはないですね。

にゃこ

生半可な気持ちじゃできないですね…。本格への道は険しいんだな…。

西原さん

起業するなら、本気で取り組み、研究する必要があると思います。
私は視野を広げるため、バックパッカーで約23カ国をまわりました。それこそ宿泊費をおさえてでも、現地のものを食べたり…。

にゃこ

またしても行動力!

「ヨーロッパを1周し、アメリカ、アジアのカフェも周りました」
ちょー

色々なものを見て、経験されてきたんですね。

西原さん

私はまだ経歴が浅いので、パンを作る手は決して早い訳ではないんです。
でも経験を大事にしていて、パンづくりや店づくりに、これまで見たもの・食べたものを活かしています。

にゃこ

尊敬…!その行動力と姿勢は、誰かから影響を受けたんですか?

西原さん

両親が経営者だったので、幼い頃からその姿を見てきました。仕事の話も聞いていたので、自然と影響を受けていると思います。

また、パティスリーとパンに関してはピエール・エルメさん、コーヒーに関してはブルーボトル創業者のジェームス・フリーマンさんを尊敬しています。
2人とも商品のクオリティにこだわりながら、会社を大きく成長させた方々です。
JUNE COFFEEはまだスタートしたばかりですが、2人のような視点で、これから広い世界を目指していきたいと思っています。

ちょー

大きいビジョンを持たれてるんですね!

西原さん

まだまだ新しいアイデアを出して、会社を成長させたいです。長崎で生まれたブランドが、都会や海外でも通用するように頑張りたいですね。

ちょー

そうなるとスタッフさんの採用や教育もすごく重要なポイントになると思うんですが、大切にしていることってありますか?

西原さん

責任感のある人かどうか、という点はよく見てますね。誰でも最初はミスをしますが、自分のミスをきちんと認められるということが大切です。
他人のせいにする人、言い訳をする人は、他のスタッフにも迷惑をかけるので一緒には働けません。

逆に日々努力して成長していく人、「バリスタになりたい」など具体的な目標がある方と一緒に働きたいと思っています。
JUNE COFFEEでは、スワンのラテアートができるようになったスタッフに専用のミルクジャグをプレゼントしてるんですよ。

スタッフさんは合間合間でラテアートの練習をしているそう。
にゃこ

へぇ〜!これはモチベーション上がるね!

西原さん

日本では女性の地位がまだ低いですよね。「誰かの奥さん」「誰かのお母さん」と言われることが多かったり…。
スタッフが1人の「バリスタ」として、誇りを持って働けるようにサポートしたいと思っています。

2022年6月、JUNE COFFEE 二号店オープン!

ちょー

あの〜Instagramでこのアカウントを見たんですが…

にゃこ

わぁ〜!浜の町に2号店ができるんだ!!

西原さん

はい!オープンしたら、そちらにも是非来てくださいね。
本店は美術館をイメージした内装になっているんですが、浜の町店ではまた雰囲気を変えて、シックな仕上がりにする予定です。

ちょー

こっちではサンドイッチが食べられるんですね。

西原さん

本店のパンを使用したサンドイッチやブランチ、本格コーヒーをお出しする予定です。もちろんデザートもありますよ。

にゃこ

本格コーヒー!楽しみ〜〜〜!!絶対行きます!

ちょー

着実に会社を成長させてる…本当にすごい…!

ちょー

今日は色々なお話をしてくださり、ありがとうございました!

最後に、長崎で起業を考えている方へメッセージをお願いできますか?

西原さん

「会社に通うのは飽きたから、お店でもやろうかな」など軽い気持ちで起業するのはおすすめしません。どんな業種でも、知識・技術・経験を積んでから創業した方がいいと思います。
経営者になると、生活全てが店に関わり、プライベートな時間はほとんどありません。
それくらいの覚悟を持って臨んだ方がいいかと思います。

にゃこ

就活を頑張っている方にも、ぜひメッセージをお願いします!

西原さん

自分がやりたい仕事を見つけて、それに関連する企業を選ぶのがベストですが、もしも合わない場合は一生続ける必要はないと思います。
恐れず、色々なことに挑戦してみてください!

ちょー

今日は本当にありがとうございました!パンとコーヒーもとっても美味しかったです!

にゃこ

ご馳走様でした!ありがとうございました!
ぼくも本格コーヒーとパンの味を覚えて、本格ネコを目指します!

今回の相談相手 西原さんのお店

  

JUNE COFFEE

〒851-2201 長崎県長崎市畦町1192-1

営業時間 11:00~18:00(L.O 17:30)

定休日  水曜日

https://www.instagram.com/junecoffee_/

この記事を書いた人

未来ダイバー

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